2019/3/8 名古屋ウィメンズマラソン2019展望A
会見前にハグをした福士とデファー
トラックで何度も挑んだ金メダリストにマラソンで雪辱なるか


 2000年世界ジュニアを皮切りにトラックで何度も戦った福士加代子(ワコール)とM・デファー(エチオピア)が、舞台をマラソンに移し、名古屋で相まみえる。

 世界ジュニアではデファーが2位で福士が4位。1.32秒差だった。
 その後の福士の活躍は周知の通り。5000mでは日本記録を4度更新し、日本人初の14分台もマークした。10000mでは五輪&世界陸上で3度の9位と、(日本の)“トラックの女王”としてトラック長距離種目を引っ張ってきた。

 だが、デファーは次元が違った。04年アテネ五輪と12年ロンドン五輪で金メダリストに(展望@参照)。世界のトップへ懸け上がっていき、福士との差は開いた。
 2人は9回同じレースを走ってきたが、福士は一度も勝てなかった(手元の資料による)。だが、ヨーロッパのハイペースの試合では20秒以上の差をつけられることもあったが、世界陸上などでは10数秒差にとどめたことも。デファーの世界でのポジションを考えれば、福士は善戦していた。

 その2人がマラソンに戦いの場を移す。
 表からわかるように福士はマラソン進出に苦労をしたが、16年には2時間22分17秒とレベルの高い記録を出し、リオ五輪代表入りも果たした。一方のデファーは、展望@で紹介したように、マラソンは昨年のアムステルダムの1回だけで、“これから”の状態だ。

福士のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 日本人 記 録
1 2,008 1.27 大阪国際女子 19   2.40.54.
2 2,011 10.09 シカゴ 3   2.24.38.
3 2,012 1.29 大阪国際女子 9   2.37.35.
4 2,013 1.27 大阪国際女子 1 1 2.24.21.
5 2,013 8.10 世界選手権 3 1 2.27.45.
6 2,014 9.28 ベルリン 6 1 2.26.25.
7 2,015 10.11 シカゴ 4 1 2.24.25.
8 2,016 1.31 大阪国際女子 1 1 2.22.17.
9 2,016 8.14 オリンピック 14 1 2.29.53.
10 2,019 1.27 大阪国際女子 dnf   dnf 35.5km

 ワコールの永山忠幸監督は、「過去の戦績は関係ない」としながらも、2人について以下のように話してくれた。
「会見前にハグをして、お互いに頑張ろうと話していました。福士は年齢が自分の方が上だと初めて知ったようです(35歳と36歳)。マラソンの記録では福士が上ですが、デファーさんの5000m、10000mの記録を考えたらマラソンのタイムはさびしいものです(力はもっとある)。過去は過去で、3月10日のレースがどうこうとは言えません。トラックではこうだった、マラソンの記録はどうだ、というのは関係ない」

 現場の選手・指導者は真っ白な状態で勝負に挑むが、トラックで戦ってきた2人がマラソンでどういう勝負を展開するか。名古屋ウィメンズの焦点の1つだろう。


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